菅SOS!与謝野と密談40分 大連立で政権しがみつき?

菅直人(64)政権が断末魔の様相を呈してきた。自民党は国会軽視発言の柳田稔法相(56)に対し、22日に参院に問責決議案を提出する方針で、全野党の賛成により可決確実となった。問責ドミノは「自衛隊暴力装置」発言の仙谷由人官房長官(64)、馬淵澄夫国交相(50)にも波及する見込みだ。政権にしがみつきたい菅首相は18日夜、民主・自民の大連立を模索している与謝野馨官房長官たちあがれ日本)と首相公邸で密会したが、いったい何が話し合われたのか。

 「たまには遊びに来いと言われたので(公邸に)行った。ただの世間話。重大な話ではない」

 18日夜、約40分にわたり首相と会談した与謝野氏は、自宅前に待機していた記者団に対してこううそぶいた。もちろん、こんな話を信じる人間は永田町には1人もいない。

 実際、野党議員が首相と公邸で会談するのは極めて異例のほか、政府関係者によると会談は18日になって急きょ、首相サイドが与謝野氏に対して申し込んだものだったからだ。

 与謝野氏といえば民主・自民の大連立構想が持論だ。このため永田町有力筋は「菅首相が政権延命の最後の頼みとして、大連立を検討し始めたのでないか。そこで、自民党ともパイプのある与謝野氏に調整を頼んだのではないか」とみる。

 ただ、内閣支持率が2割台まで落ち込んだ今、菅首相と野党が組む理由付けは極めて困難だ。自民党の閣僚経験者は「今、菅首相が小沢氏を切って誠意を示したとしても、世論は菅内閣の統治能力に失格の烙印を押しており、連立は難しい」と指摘する。

 それだけに、難航必至と言われる来年度予算編成へのアドバイスを求めたとの見方も。自民党中堅はこう話す。

 「民主党の主張通りに予算編成をすれば、赤字国債の発行額は過去最高となるのは明らかで、霞が関では『本当に予算編成ができるのか』という声すら出ている始末。このため、財務相などを経験した与謝野氏の知恵を借りたかったのではないか」

 一方、民主党ベテラン秘書は「民主党で国会対策ができるのは、前回の代表選で小沢氏を支持した面々が多い。与謝野氏は小沢一郎民主党元代表囲碁などを通じて親交が深いだけに、小沢氏との関係修復に一肌ぬいで欲しいと頼んだのではないか」という。

 いずれにしても、与謝野氏に助け舟を求めたのだけは間違いなそうだが、それもそのはず、参院予算委員会を見ても分かるとおり、菅政権が末期症状に陥っているためだ。

 18日の委員会では、柳田氏のほかにも、「暴力装置」発言の仙谷氏が「自衛隊の皆さんに謝罪します」▽国会でファッション誌の写真撮影した蓮舫行政刷新担当相(42)が虚偽答弁で陳謝▽岡崎トミ子国家公安委員長(66)が2010年度補正予算案の説明でブレまくるなど、撤回と謝罪のオンパレードとなった。

 こうした体たらくに、自民党内は「戦う参院から政権を打倒しよう」(山本一太参院政審会長)と倒閣モード一色。22日に柳田氏問責を提出する方針を決めた。さらに、自民党幹部の1人は「最終目標は仙谷の首。『暴力装置』発言だけでも、十分問責に値する」と主張。補正が参院で採決された後、仙谷氏と馬淵氏の問責提出を目指すことも申し合わせたのだ。

 自民党の大攻勢に脅えたのか、柳田氏は19日午前の閣議後会見で、「検察改革も大きな責務。これを何としても成し遂げなければならない」と辞任を否定。仙谷氏も同日、「当然頑張っていただかないといけない」と述べ、当面続投させる考えを示した。

 菅首相にとって、「影の宰相」こと仙谷氏の問責が可決された場合のダメージは計り知れない。野党は仙谷氏が辞任しない限り年明けからの2011年度予算案の審議拒否に転じる可能性が高く、政権が一気に行き詰まるからだ。

 こうした状況に、これまで影を潜めていた小沢一郎元代表(68)も動き始めた。18日夜には、若手議員との懇親会に出席し「民主党政権の現状は厳しい。解散はいつあるかわからないぞ」と強調。国会招致を逃げ続け、自ら菅内閣を追い込んだことを忘れたかのように、上機嫌で紹興酒をついで回ったという。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20101119/plt1011191619007-n1.htm