渡辺会長大噴火、10億補強だ「いい投手連れて来い!」

 ソフトバンクとロッテによるパ・リーグクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージが、きょう14日に開幕。16日からは阪神対巨人のセ・リーグCSも始まろうという中、巨人・渡辺恒雄球団会長(84)は、早くもストーブリーグまっただ中?! 13日夜、都内での会食後に報道陣を前に、リーグ4連覇を逃した巨人に対しての10億円規模の粛清と補強、横浜の身売り問題について大放談を繰り広げた。球界を代表する名物会長の7分あまりにわたる全発言の内容は…。

 −−巨人は最終的に3位にとどまった

 「そりゃそうだろ。だけどね、1ゲーム差だよ、首位と。1ゲーム差っていうのはね…期待された抑えのピッチャーがだ、負けたっていうのが3回あったね。名前は言いたくないが。それがなけりゃあね、勝ってんだよな。そりゃそうだろ、数学的に考えりゃ。だからピッチャーだよ。ピッチャーが1人、かつての江川とか桑田みたいなのが1人いたら、今年は優勝してるね。それが1人もいなかったということだな。ピッチャーだよ」

 −−ということは、シーズンオフには投手陣の補強が必須になる

 「そりゃ、あったり前だよ。だけど、補強しようにも、どっかにいるのか? いたら連れてきてくれよ。いくらでも出すから」

 −−確かに、いいピッチャーがこぞってメジャーへ移籍してしまうご時世だ

 「来年はしかし、(選手の年俸総額で)10億円ぐらい浮くからな」(報道陣を見回して含み笑い。そして報道陣に向かって)

 「だから、10億円以上出すから、きみたちがこのピッチャーなら10億円で25勝するよっていうのがいたらね(推薦してくれ)、責任は問わんから、10億円出すよ。ハッ、ハハ。それがダメだったら、罰金をひとり1万円くらいもらってさ、合理的だろ、この賭けは。ハハハハ」

 −−ところで、横浜の身売り問題はまだ波乱含みのようだ

 「こういうことが恒常的に起こるようじゃ、しようがない。なんでも金のあるやつに身売りしてね、どうでもいいんだっていうやり方はおかしいよ。どう考えても。だから球団を新たに持つ企業は、変な高利貸とかなんとかじゃ困るし、ちゃんとした企業で、継続性があって、なんぼ赤字が出ても、(資金を)出してもらわないと。巨人も昭和10年以来25年間赤字が続いたんだから。という話を阪神の久万さん(俊二郎・元オーナー)にしたら、『何を言うか。阪神は50年赤字が続いて、この数年やっと黒字になったんだ。おれのところはもっと犠牲を払った』と。『はい、すいません』と謝ったよ。そのくらい覚悟がなきゃね、球団を持っちゃいかんのだよ。アメリカ(メジャーリーグ)30球団のうち、10球団くらいはいい加減な企業が持って買っちゃ売り、買っちゃ売りやってるだろ。あのまねをしちゃいかんよ。スポーツだから。それも子供の愛するスポーツ。子供が夢を持つスポーツといったら、やっぱり野球だよな。あと柔剣道とかあるかもしらんが。野球と、最近はゴルフね。ああいうものはきれいじゃなきゃいかん。ゴルフというのは本当にきれいじゃなきゃいかんだろ。インチキやったらもうおしまいだから。野球もそういう気持ちになってね、少しきれいなスポーツへ…多少殴り合い(乱闘?)ぐらいしようがないけどね。それでも筋の通った争いをすると。経営者はね、単なる金もうけ、自分の企業の宣伝、それだけしか考えないのはお断りするとかね、オーナー会議でちゃんとしなきゃいかんね」

 −−その点、横浜の買収を進めている住生活グループは?

 「別に高利貸でもなけりゃ、汚いことやってるわけじゃないだろ。よく知らんけど、トイレをきれいにするとか、台所をきれいにするとか、衛生的な企業だからいいんじゃないか? ただね、あれだよな、球団の名前としてね、住生活ベイスターズというのは…」

 −−住生活グループの統一ブランドである「LIXIL(リクシル)」をチーム名に入れる方向のようだが

 「だからそういう名前を許すとか、なんとかして少しスマートにね。ちょっと住生活…でもいいけどさ。いいけどちょっと、ゴロはよくないよね、ハハハハ。まあ、いい経営者が持ってくれるのは…変な経営者の持ってる球団もないわけじゃないんだから、いいですよ。住生活、歓迎だな」

 そう語り尽くした渡辺会長は、迎えの車に乗り込む寸前、少しよろけながらも、「84歳でボケてきたから、歩くのがやっとなんだよ。同情してくれ。みんな悪口ばっかり書くけど、たまには84でよく生きてるぐらいのこと書いてくれ」と、なおも弁舌は、お達者そのものだった。

 ■渡辺 恒雄(わたなべ・つねお) 1926年5月30日、東京都生まれ、84歳。東大文学部哲学科卒。50年読売新聞社入社。編集局総務兼政治部長、同社副社長、社長などを歴任。政財界に太い人脈を持つ。現在、読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆。巨人では96年にオーナー就任。2004年に裏金問題の責任を取って辞任したが、翌05年に球団会長として復帰した。

http://www.zakzak.co.jp/sports/baseball/news/20101014/bbl1010141638014-n1.htm