JTたばこ値上げ厳戒 大量買いだめに備え生産量通常の2倍に

10月1日の「たばこ値上げ」まで、あと1カ月。今回は1箱あたり110円から140円という大幅な値上げになるため、愛煙家による大量の“買いだめ”が予想されている。日本たばこ(JT)は生産量を通常の2倍に増強し、販売店も異例の予約販売に踏み切った。“たばこ狂騒曲”の始まりである。

 10月1日からの値上げの対象となるのは、全105銘柄のうち103銘柄。代表的な銘柄である「マイルドセブン」は現在の1箱300円から410円に、「セブンスター」は300円から440円になる。オフィス街の喫煙室も、値上げの話題で持ちきりだ。

 「1日1箱吸うと、1カ月で3000円以上、1年間で4万円の出費増になる。これは痛いですよ」(愛煙家の会社員)

 たばこ業界も戦々恐々だ。全国約11万店のたばこ販売店が加盟する業界団体、全国たばこ販売協同組合連合会の事務局担当者は「今回は、過去に例がない大幅な値上げ。禁煙の風潮が広がり、売り上げが毎年減少するなか、値上げの影響は計り知れない」と嘆く。

 実際、愛煙家の数は減少の一途だ。JTの調査では、2008年4月から09年3月までの紙巻きたばこの販売実績は、前年度比4・9%減の2458億本で、10年連続の減少となった。

 JTは今年5月中旬から、火を使わず煙も出ない無煙たばこ「ゼロスタイル・ミント」を東京都内限定で売り出した。発売1カ月で65万パックを売り上げ、一時は生産が追いつかない大ヒットとなったが、喜んでばかりもいられない。

 「逆にいうと、禁煙志向の人がそれだけ多いということ。今回の値上げを機に禁煙に踏み切る人がさらに増え、大幅な売り上げ減少も予想されます」(経済アナリスト)

 こうした背景もあり、JTは値上げ直前の今月、“駆け込みカートン買い”が殺到すると予想。異例の増産体制に入った。

 「1カ月分の生産量を通常の2倍に増量しました。値上げの時期はいつも、施行の1カ月前にカートン買いするお客さまが急増しますが、今回は今までの値上げとはワケが違う。相当な駆け込み需要があると予想しています」(JT担当者)

 たばこを扱うコンビニエンスストアや専門店も対応に追われている。

 「大量のカートン買いに備え、予約販売を始めました。需要のピークは恐らく9月末になるはず。それまでに在庫の充実にも努めます」(前出の連合会関係者)

 ちなみに、今回の値上げで対象外の2銘柄は、「ソブラニー・ブラック・ロシアン」と「ソブラニー・カクテル・100」だが、これらは英国製の紙巻きたばこで、値段がもともと750円と高価なもの。愛煙家には悩ましい1カ月となりそうだ。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20100901/dms1009011659026-n2.htm