小沢“ぶんどり大作戦”中間層を根こそぎ! 菅の中傷攻撃にブチ切れ

民主党代表選(14日投開票)で、小沢一郎前幹事長(68)の陣営が、菅直人首相(63)の陣営に猛攻を仕掛けている。菅陣営による中傷攻撃やスキャンダル暴露にブチ切れ、「生きるか、死ぬか」の死闘を覚悟。事実上の殲滅戦に突入した。菅、小沢両氏は2日午後、日本記者クラブ主催の公開討論会でも激突したが、小沢氏が代表選後の連立組み替えや政界再編を視野に動き出していることも判明した。

 「クリーンな民主党をつくっていきたい。政治にカネがまつわる古い政治からは脱却しないとならない」「小沢氏が首相になりたいならば説明が必要だ」

 1日午後に行われた共同記者会見。菅首相は、小沢氏の「政治とカネ」の問題に切り込んだ。小沢氏は黙って聞いていたが、その表情は不快そのもの。31日の菅−小沢会談で交わされた「泥仕合にしない」という約束は反故にされた。

 小沢陣営中堅は「マスコミに党内資料を流し、中傷記事を書かせたのは菅陣営ではないか。首相の側近、仙谷由人官房長官(64)の事務所費問題は構わないのか。フザけるな!」と突き放す。

 殲滅戦を覚悟した小沢陣営の布陣は強力かつ緻密だ。

 国会近くのホテルに選対本部を設置し、陣営議員を「議員班」「遊説班」「地方議員班」「党員・サポーター班」など個別の担当に振り分け、多数派工作を展開。議員会館のフロアごとにも担当者が配置され、徹底的なローラー作戦が行われている。全国各地で行われる遊説にも、陣営議員が支持者を動員するようノルマも課している。

 陣営幹部は「議員票は菅、小沢両陣営で3分の1ずつ。残りの3分の1の争奪戦だ」と現状分析するが、1日午前に行われた小沢氏の決起集会には国会議員125人、代理約50人の計約180人が出席。一方、菅陣営が同日午後に開いた決起集会には国会議員114人、代理約60人の計約170人が参加し、接戦といわれる情勢を反映した。

 小沢陣営の集会には山岡賢次副代表(67)ら小沢グループから約90人。このほか、海江田万里衆院財務金融委員長(61)や平野博文官房長官(61)ら鳩山由紀夫前首相(63)グループのほか、赤松広隆前農相(62)ら旧社会党系グループの一部が顔を出した。

 一方、菅陣営の集会には、蓮舫行政刷新担当相(42)のほか、江田五月参院議長(69)や仙谷由人官房長官(64)、岡田克也外相(57)、玄葉光一郎政調会長(46)らが駆け付けた。

 党所属議員412人のうち、4割強の約180人はどちらにも顔を見せなかったが、小沢陣営としてはこうした「中間層」議員を根こそぎ刈り取る構えなのだ。

 ただ、菅陣営も黙っていない。ルビコン河を渡った菅首相は同日夜、都内で開かれた野田佳彦財務相(53)のグループの会合でこうブチあげた。

 「明治維新には西郷さんの力が必要だった。西南戦争があって本格的な明治政府ができた。政権交代以降、西郷さんはああいう末路を迎えた。これが大事だ」

 西南戦争民主党代表選に、小沢氏を維新の三傑西郷隆盛に例え、小沢氏を西郷のように自刃(=政界引退か追放か?)させる決意をあらわにした。

【「菅側は野党議員を切り崩していない」】

 とはいえ、小沢氏は代表選後を見据えた動きも着々と進めている。

 菅首相が陣頭指揮を執った参院選で大敗し、衆参ねじれとなったことを受け、今後の国会運営をにらみ、新党改革舛添要一代表(62)や、無所属の鳩山邦夫総務相(61)など、野党議員に政権参画の勧誘を本格化させていたのだ。

 小沢支持とされる原口一博総務相(51)らは8月31日夜、邦夫氏と都内で会談。原口氏は「小沢政権」を発足するに当たっては、民主党議員だけでは「人材が足りない」と発言。同時に「小沢氏は政策重視の人事を行う方針だ」とも述べ、舛添氏や一部の自民党議員も含めた政権参画に期待感を表明したという。

 これを受け、邦夫氏は1日午前、舛添氏に電話して原口氏の発言の内容を報告し、舛添、邦夫両氏は政権に参画する方向で行動していくことを確認。邦夫氏は同日夜には、兄の鳩山前首相らと都内で会談し「小沢政権」に協力する考えを伝えたという。

 政治評論家の小林吉弥氏は「これが政治だ。小沢陣営は代表選だけでなく、選挙後のことも考えて布石を打っている。これに比べて、菅執行部は参院選大敗から2カ月たつが、野党議員1人も切り崩していない。政治力の差がよく分かる話だ」と語っている。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100902/plt1009021649006-n2.htm