“政界キーマン”喜美×舛添、初対談で民主メッタ斬り

世論調査の「総理にふさわしい政治家」で、上位に位置するみんなの党渡辺喜美代表(58)と新党改革舛添要一代表(61)。その日本のキーマン2人が夕刊フジ紙上で、初の“党首対談”を行った。両氏ともに政治主導を掲げる民主党政権を「官僚主導に逆戻りした」などとこきおろし、9月の民主党代表選後は分裂含みとみる。政界再編「秋の陣」を予感させる中、2人はどう立ち回るのか。

 −−菅首相は自らの内閣を「奇兵隊内閣」と呼ぶ。閉塞感漂う今の政治情勢は幕末の風景と似ている

 舛添 「自民党徳川幕府に例えれば、江戸城は落城した。その先の民主党新政権、つまり薩長新政権もうまくやっていけていない中、明治10年には西南の役がおこる。そこには士族の不満がある。今は不満がぶつかりあっているという状況で、このまま新政権が安定できるかどうかだ」

 渡辺 「私の認識では、まだ明治維新は起きていない。15代将軍・徳川慶喜の時代なのかもしれない。形式的な大政奉還後、民主党政権になったが、維新まではたどりついていなくて、自民党幕藩体制の末期のところで、もがいている」

 「民主政権は一応、表向きは改革は唱えつつも、鳩山さんで大失敗。菅さんになったら、鳩山さんが唱えていた改革を捨て去った。菅さんは自分を現実主義者といっているが、単なる日和見主義ですよ。自民党時代よりもすごい官僚主導型に逆戻りしてしまった。もっと逆戻りして『安政の大獄』になる可能性がでてきた」

 −−民主党政権はどこで歯車を間違えたのか

 舛添 「民主党は国を統治する側に回るべき人たちではない。批判専門の野党がピッタリの適役だった。つまり、この国をどう治めるのか。それに必要な能力、資質、そしてセンスのすべてが欠けている。プロ野球を観戦していて『下手くそ』とかヤジを飛ばすのはいいが、『お前やってみろ』となれば、草野球以下で見ちゃおれない。素人集団の政治だ」

 渡辺 「国家経営のやり方が分かっていない。官僚機構を使いこなす前に官僚を選べ、という基本原則ができていない。自民党幕藩体制を支えた官僚をそのまま居抜きで使っている。これで改革なんてできるわけがないんですね。結局、鳩山さんの時代に予算の組み替えやるとか、普天間移設は沖縄県外・海外だといいながら、できなかったのは、できない理屈の大天才の官僚を使ったことにある」

 −−政治主導の金看板も降ろした

 舛添 「政治主導とは何かということで、完全に間違っているのは、大臣、副大臣政務官の政務三役がそろって話をすればいいと思っていること。夕方から夜中まで議論して、議論し尽くしても結論が出ず『わからない』。役人を呼んで『これはこういうことです』と言われ、『ああそうか』となる。最初から呼んで、基礎的な知識を聞いてダメならダメといえばいい。基礎的な部分は役人、政務三役は大きな舵取りを決めればいいのに、バカなことを繰り返している」

 「もっといえば、私は厚労相を経験したが、大臣は船でいえば船長さんなんです。ところが、厚労相の長妻さんはメカニックの役割をやっていて、細かい部品を一生懸命に磨いたりしている。そんなものは磨くのが得意な役人に任せておけばいいのに…」

 渡辺 「政務三役は重役なんですから、重役が課長補佐の仕事やるなと言いたい。菅官邸は官僚の言いなりで、仙谷官房長官のところに権力が集中している。でも、仙谷さんがなんでも1人でできるなんて、あり得ない。結局、官邸官僚が調整する官僚主導の典型的な体制ができあがっている」

 −−円急騰の中、民主党の経済無策も目立つ

 渡辺 「先日、自民党衆院議員の中川秀直さん、山本幸三さんとともに、『日本銀行の金融政策はまるでなってない』と訴えた。急速に円高が進み、米国経済の二番底懸念がはっきりしてきた。ここで日本がデフレから脱却できず、二重のデフレを被ることになったらトンデモナイ経済底割れ状態になる」

 「だから、政党の垣根を越えて『日銀の金融政策は違っている』『日銀総裁と公開討論をやろう』と提案をしたんです。白川総裁は乗ってこないと思うが、こういう政策課題だったら、舛添さんは乗れるんじゃないでしょうかね」

 舛添 「そうね。デフレ克服とか金融は一緒にやっていたからね」

 −−菅政権は消費税増税をブチ上げたが、今度は議員定数是正を打ち上げた

 渡辺 「仮に、できなかったら普天間移設問題と同じで、まさに政治責任に直結する。それに衆院議員の比例80減は、少数政党つぶしに他ならない」

 舛添 「そう。そんなのダメですよ」

 渡辺 「定数削減自体は賛成です。しかし議会は国民の声を忠実に反映させなければいけない。小選挙区に比重を置いた制度では、自民党民主党しか当選できない仕組みになっちゃうんですから、国民の声が正確に反映されるには程遠い制度なんですね」

 舛添 「我々は議員定数は半減といっているが、比例の要素を残さないと多様な価値観が消えてしまう。議論をするのはやぶさかではないが、最初から比例だけというのは困る。そこは同じだ」

 渡辺 「どうせ『消費税を上げる前にやることがあるだろう』といわれ、定数削減を思いついたんだろう。だったらなんで議員歳費カット法案にのってこないんですか。自民も民主もどっちも増税といっており、(比例削減で有利になる両党の)まさに増税大連合を画策している。これを喜ぶのは官僚。そういうウラの意図を見抜かないといけない」(明日へ続く)

渡辺喜美 父で外相などを歴任した美智雄氏の秘書を経て政界進出。安倍、福田政権で行政改革担当相として公務員制度改革に力を入れた。2009年に自民党を離党、みんなの党を旗揚げし代表に就任。先の参院選で躍進した。衆院栃木3区選出(当選5回)。58歳。栃木県出身。早大卒。

舛添要一 政治学者として東大助教授などを務め、2001年に政界転身。安倍、福田、麻生政権で厚生労働相として年金や薬害肝炎問題に対応した。今年4月には自民党を離党し、新党改革の代表に就任。参院議員・比例区選出(当選2回)。61歳。福岡県出身。東大卒。


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