“古き良き沖縄”が残る離島で、エコ・リゾート会社が環境破壊

人口340人の小さな島が、大規模リゾート開発の波に呑まれようとしている。

 沖縄県八重山郡竹富島は、石垣島からフェリーで約10分、“古き良き沖縄”の景観を今なお残す離島だ。国の「重要伝統的建造物群保存地区」にも指定されている。ハイビスカスやブーゲンビリアなどの花に囲まれ、赤瓦の家々が連なり、きれいに掃き清められた白砂の道を水牛車が通っている。

 リゾートの開発者はエコ・リゾートで有名な「星野リゾート」で、竹富島東部海岸アイヤル浜付近の83haにコテージ約50棟、プールやレストラン等を建設する。今年中の完成を目指しているという。

【環境調査も埋蔵文化調査も行わず森を皆伐

 ’07年8月、開発者側は「測量」を名目に、リゾート開発予定地を含む6.7haの森林を伐採した。竹富島の自然が好きで年に何度も訪れるという神奈川県在住の斉藤英夫氏はこう証言する。

「開発予定地内を通るアイヤル路は『蝶の道』とも呼ばれ、以前は歩くとたくさんの蝶が体にまとわりついてきました。ところが、おそらく伐採の影響だと思いますが、年々蝶の数が減っている。感覚としては3分の1くらい。リゾートができれば道路も整備され、多くの車両が行き交うことになる。さらに多くの動植物に影響が出ると予測されます」

 ところが開発者側は、環境調査を一切していないという。

 リゾート開発に反対する、「竹富島憲章を生かす会」代表の上間毅氏はこう語る。

「6.7haでは調査をする義務がないと説明されています。でも、本土と小さな離島では、同じ面積でも環境に対する負荷がまったく違う。予定地にどんな動植物がいるのかわからないまま、開発が進められようとしています」

 また、予定地内の漢那地(かんなーじ)という地域では、数十年前に先島先史時代の石斧が出土しているが、埋蔵文化調査も行われないままだ。

「石斧の出土場所は’07年に伐採された地域に含まれます。このときに多くの遺構も破壊されてしまったのではないでしょうか」(上間氏)
http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20100428/zsp1004281602009-n1.htm