オンコの老木、芸術作品に 室蘭

【室蘭】室蘭市八丁平の彫刻家、高橋昭五郎さん(80)が、3月末に市内中央町の小公園で伐採したオンコの木を材料にした彫刻作品の制作に取り組んでいる。40年間、マチを見守り続けた木を残したいという住民の要望に応えた。高橋さんは「見慣れた人たちの喜びや楽しみの思いが、見た人に伝わる作品を目指したい」と意気込む。

 小公園を管理する市都市政策課によると、このオンコは1972年、室蘭港開港100年・市制施行50年を記念して地元の造園4 件業者から寄贈され、市が植樹した。樹齢60年以上で高さ6メートル、幹の直径35センチほどあったが、老木化が進んでいた。

 小公園を清掃する中央町浜町会環境部長の丸山貴陸さん(74)が昨年春、知り合いで室蘭出身の道展会員、高橋さんに彫刻制作を依頼し承諾を得た。木は市の許可を得て、中央町の建設土木「共成土木」が無償で伐採し、高橋さん宅横のアトリエに運んだという。

 制作中の彫刻は高さ約3・2メートル、重さ約90キロ。幹から伸びる太い5本の枝を、欧州の教会や古城などの建造物に見立てた作品で、5月末までには完成する予定だ。

 高橋さんはこれまでも、市内で伐採された樹木を使い彫刻作品を制作し、市立室蘭総合病院などに寄贈している。今回のオンコについて「枯れてはいるが強い生命力を感じた。自然4 件が作り上げた素材を壊さず仕上げたい」。丸山さんは「完成後は、公共施設などに寄贈できればうれしい」と話している。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki/367859.html