尖閣ビデオ流出事件 海保職員を聴取、東京地検と警視庁が連携

尖閣諸島付近の中国漁船衝突の映像流出事件で、警視庁捜査1課は9日、内部調査の状況について説明を求めるため、海上保安庁の担当者の事情聴取を始めた。近く沖縄県警と合同捜査本部を設置し、映像を編集した石垣海上保安部(沖縄県石垣市)などに捜査員を派遣。石垣海保の職員らからも事情聴取するとともに、パソコンへのアクセス記録の解析を進める。

 検察当局は捜査主体を福岡高検から東京地検に移し、警視庁と連携して捜査する。

 一方、編集した4つのファイルを収めたCD−Rそのものが流出した形跡はないことが判明。CD−R作成後、漁船衝突事件の捜査過程でUSBメモリーなどの記憶媒体で海保職員らのパソコンなどにコピーが広がり、海保内部から流出した可能性が高い。

 石垣海保の職員は約140人で、うち約100人は巡視船の乗組員。規模が小さく「不審人物が入ってきたらすぐ分かる」(海保幹部)という。石垣海保が入る合同庁舎は3階建て。入り口に警備員はおらず、税関や入管がある1、2階は職員以外の出入りも可能だが、事件を捜査する3階の警備救難課は夜間当直があり、複数の職員が24時間常駐している。

 衝突事件後は、第11管区海上保安本部(那覇)からの応援も含めて数十人が出入りしていた。

 石垣海保関係者は「応援組はグループ単位で行動する。知らない人がいたら目立つ。部外者が入ってきて気付かないことはあり得ない」としており、外部から侵入し、映像を持ち出すことは困難だ。

 不正アクセスの痕跡も見つかっておらず、内部流出の可能性が濃厚だが、これまでの海上保安庁の内部調査で職員はすべて関与を否定している。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20101109/plt1011091648007-n1.htm