中国の“卑劣な罠”尖閣共同開発、菅即決で領土侵略へ

中国が今月中旬、沖縄県尖閣諸島周辺の海底資源に関する共同開発に応じるよう、日本側に要求していた。「中国の罠」とみて日本側は拒否したが、中国側は今月末のASEAN東南アジア諸国連合)で、菅直人首相と温家宝首相との首脳会談が実現すれば、再度要求するとみられる。「政治主導」が大好きな菅首相が即決するようなことでもあれば、歴史的汚点になることを分かっているのか…。

 共同開発の持ちかけが、日中関係改善の流れに乗じて、国際社会に「釣魚島(尖閣諸島)は中国固有の領土」との主張を浸透させる、中国の“卑劣な罠”であることは明白だ。

 元公安調査庁調査第二部長の菅沼光弘氏も「菅政権は、横浜で来月開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)に、中国の胡錦濤国家主席を呼ぶために、尖閣問題で譲歩してきた。中国はその弱みを突いてきた。共同開発を認めたら、日本は確実に領土を侵略される」と警戒する。

 中国の狡猾な対日戦略が発覚したのは、ゼネコン「フジタ」の社員が釈放された9日以降。

 関係筋によると、外交ルートを通じ「尖閣諸島の領有権問題を棚上げし、当面は日中関係改善を優先すべきだ」と主張。その先の抜本的解決策として共同開発を持ち出したという。

 日本政府は、(1)尖閣諸島は日本固有の領土であり、日中間に争いはない(2)領土問題が存在しない以上、共同開発に応じる理由はない−と拒否。「中国側の主張は国際法や歴史的経緯に照らし、何の合理性もない」との基本的立場も伝達した。

 現在、日中両政府は、28日にハノイで開催予定のASEANの場で、菅首相と温首相の首脳会談を行う方向で調整を進めている。APECの議長を務める菅首相に対し、中国側が「胡主席来日中止」をチラつかせながら、尖閣の共同開発を求めてきたら…。

 こうした中、中国は東シナ海のガス田周辺での海洋調査実施も通報してきた。調査海域は、日本が主張する排他的経済水域EEZ)の境界線「日中中間線」をまたいだ日本側にも及んでいる。「アメとムチ」を次々と打ち出し、中国は東シナ海での海洋権益確保に乗り出している。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20101022/plt1010221553006-n1.htm