小沢「一兵卒」は隠れ蓑、支持勢力の足場固めに動く

「脱小沢」、いや「非小沢」路線を鮮明にした菅改造内閣が発足したのをよそに、代表選で敗れた小沢一郎元幹事長(68)が支持勢力の足場固めに動き出した。菅直人首相(63)から打診された代表代行を断る一方、17日には小沢支持議員のパーティーに顔を出し、一兵卒として衆院選への備えを説いた。いずれ菅内閣が行き詰まれば、小沢待望論が再び強まる。それまでは「雌伏の時」と踏んでいる−。

 「(代表選で敗れ)皆さんに大変迷惑をかけたことを心からおわびを申し上げる。初心に帰り、一兵卒で民主党政権が国民の皆さんの期待に応えられるよう、みんなと手をつないで協力していきたい」

 17日夜、大阪府守口市のホテルで開かれた小沢グループの若手、村上史好衆院議員のパーティー。この日午前の両院議員総会には出席しなかった小沢氏も顔をみせて、こう強調した。

 「次の選挙、いつあるかわからないが常在戦場で備えなければならない」とも述べ、早期の衆院解散の可能性に触れた。

 「口先だけの小手先の改革では国民の生活は守れない」と菅内閣へのあてつけ発言も飛び出し、演説後は会場のテーブルをくまなく回り、記念撮影にも気軽に応じる「微笑む小沢」をみせた。

 小沢氏は菅氏とのガチンコ勝負となった代表選に敗れ、「一兵卒」を宣言。菅改造内閣では、小沢氏に近い山田正彦農水相らが退任してしまい、菅改造内閣と党役員人事でも小沢グループから一人も登用されなかった。

 こうした冷遇ぶりに小沢支持議員からは不満が噴出。また、菅首相から代表代行のポスト打診を断った理由について、菅首相に「小沢氏から『体力的に消耗した。しっかり支えるからポストは勘弁してほしい』と言われた」と暴露されても、小沢氏はこの日のパーティーで、菅政権の人事には一切触れないダンマリを貫いた。

 その一方で、小沢氏は支持議員の会合などにはこまめに足を運ぶ。17日に続き、23日にも若手議員の会合に出席する予定だ。「代表選で支持を得た200人は大きい。次につながる数で、きちんとつなぎ止めておこうという思惑があるのでは…」(民主党関係者)との見方がある。

 小沢氏が抱える「政治とカネ」の問題で、検察審査会の最終判断が10月にも出る見通しだが、「このハードルさえ、クリアすれば、あとは菅内閣が来年3月の予算関連法案で立ち往生するのを待つだけ。小沢待望論は自然に出てくる」(小沢氏側近議員)との声が漏れる。老兵は死なず、か。


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