隠れ支持派は多い!? 小沢“圧力”かけ中間層強奪

民主党代表選は、菅直人首相(63)と小沢一郎前幹事長(68)が、まさにがっぷり四つのまま、最後の週末に入った。党員・サポーターによる郵送投票が11日に締め切られ、両陣営とも地方議員や国会議員票の囲い込みを激化。夕刊フジをはじめ各メディアの調査では菅氏「やや優勢」の状況だが、そこは小沢氏。態度を決め切れない中間派を根こそぎ取り込めば結果はひっくり返るだけに、「剛腕」の異名通りの、なりふりかまわない集票作戦に入ったようだ。

 週末を控えた10日、両陣営による綱引きは壮絶だった。小沢氏は昼、都内で開かれた日本歯科医師会の代議員会に関係議員と出席。「自民党政権で続いた理不尽な医療費削減に歯止めをかけ、10年ぶりに歯科診療報酬のプラス改定を実施したことは、ご理解いただけると思います」と自らの幹事長時代の実績を強調。

 組織内議員の名前をちりばめながらのあいさつは、「選挙で日歯が票を回している議員に対する暗黙のプレッシャー」(日歯幹部)となったようだ。また、午前には旧民社党系の幹部、田中慶秋衆院議員(72)、中野寛成衆院副議長(69)の国会内の事務所に相次いで足を運び、中間派の取り込みに腐心した。田中氏は同日夕、菅首相支持を明言したが、グループとしては事実上、自主投票となった。

 一方の菅首相はさらに露骨な集票を展開した。

 国会内で開かれた公開討論会で約210人の国会議員を前に「50、いや100ぐらいの特命チームを作る。みなさんに自分の得意なチームに入ってもらい、政府・与党一体で改革を進める」と宣言した。

 小沢氏が幹事長時代、若手には地元活動を優先させる方針だったため党内にはフラストレーションがたまっていた。それだけに、「活躍の場」をチラつかせることで、若手、特に当選1回生を取り込む意図は明白だ。

 また、閣僚が中間派に個別に電話をかけ、「次の選挙には蓮舫(行政刷新担当相)を応援に行かせるから」と言えば、「早く態度表明したほうがいい。最後まで表明しなかった人のことはみんな覚えてるぞ」と、アメとムチを駆使した勧誘をしている。

 現状での票読みは、菅首相優勢との見方が広がっている。民主党関係者は「全体の票1222ポイントのうち、11日に締め切られた党員・サポーター票300ポイントと、地方議員票100ポイントは菅首相優位とされ、所属国会議員411人の822ポイントは、両者190人380ポイント前後で、残る30人ほどが命運を分ける」と話す。

 報道各社は「党員・サポーター、地方議員の票で圧倒する菅首相が、議員票を互角に持ち込み逃げ切る」と共通しているが、小沢陣営は「地方票で、言われるほどの差はない。国会議員票を上積みできれば十分に逆転できる」と強気だ。

 その背景には「小沢支持を表明すれば地元でたたかれるので、『隠れ小沢支持』議員が多い。党員・サポーターだって、ある程度の組織票がある」との読みがある。

 この週末には中間派も地元有権者と会合をする中で、どちらかの支持を表明する可能性が高いだけに、小沢陣営は土壇場での巻き返しに躍起だ。

 陣営幹部を中間派の地元に派遣する作戦を検討するほか、小沢事務所が10日、「ツイッター」を開設。情報発信を増やすことで有権者のイメージアップを図り、少しでも議員が「小沢支持」を言い出しやすい環境を作りたい思惑もありそうだ。

 選挙に弱い1回生を中心にピンポイントで「菅首相に入れれば、次の選挙では公認しない」「どうなるか分かっているよね」と小沢氏が当選した場合の“報復”をほのめかすプランもささやかれているが、こちらは逆効果になりかねない。

 対する菅陣営は閣僚を説得役に使うほか、「勝ち馬」を強調し、議員の支持拡大を目指す。

 最後に笑うのは、果たしてどちらか。


http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100911/plt1009111310002-n2.htm