安倍元首相、民主代表戦は「まれに見る醜い選挙だ」

事実上、一国の首相を選ぶ選挙なのに、菅直人首相(63)と小沢一郎前幹事長(68)の陣営をめぐる中傷・スキャンダル合戦と化し、外国人も投票できる−。民主党代表選は野党サイドからはどう映るのか。自民党保守派のリーダー、安倍晋三元首相(55)が、代表選後の政界再編も含めて語った。

 「まれに見る、醜い選挙だ。政策よりも『相手は首相の資格がない』とののしり合っている。新聞や週刊誌には連日、醜聞記事が掲載されている。自民党総裁選も熱くなるが、ここまでひどい戦いはない。国民も辟易しているのではないか」

 小沢代表時代の対策費問題や、菅首相側近・仙谷由人官房長官(64)の事務所費問題、小沢ガールズの不倫疑惑など、数多の醜聞が噴出した。第三者である安倍氏も食傷気味だ。

 そのうえで、「菅首相円高・株安に打つ手がない。このままでは経済は二番底、三番底になる。経済指標は『早く辞めてくれ』と訴えている。小沢氏は、鳩山政権時代で否定された政策をもう一度持ち出している。日米合意を白紙に戻すなど、尋常ではない。悲しいかな、民主党議員や党員・サポーターは『どちらが、まだダメージが少ないか』で選ばざるを得ないだろう」と指摘する。

 注目を集める党員・サポーター票だが、安倍氏は「外国人が党員・サポーターとして投票できるのは大問題だ」といい、こう続ける。

 「憲法15条は首相を含む公務員選定を『国民固有の権利』と定めている。政治資金規正法が外国人からの寄付受領を禁じているのは、外国勢力の影響で日本の政治がゆがめられることを防ぐためだ。民主党代表選の仕組みでは、他国が意図的に自分たちに都合のいい人物を首相にすることができる。この問題を軽視してはならない」

 一方、自民党谷垣禎一総裁(65)が9日、石原伸晃幹事長(53)や小池百合子総務会長(58)を抜擢する大胆人事を行った。今後、自民党はどう戦うのか。民主党が分裂し、小沢支持グループが離脱した場合など、自民党との連携はあるのか。

 「若い幹事長の下で、政権奪還の態勢を整えていく。衆院選で勝利するのが最善の策だが、現在の日本経済は危機的状況だ。解散まで待つ時間はないかもしれない。今回の代表選で、民主党内の亀裂は修復不可能になった。党分裂は十分あり得る。『国民生活をどう守るか』という原則を持ちながら、(政界再編などの)あらゆる選択肢をテーブルに並べたい。手段は幅広く考えていきたい。保守系議員の決起をうながしたい」

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100910/plt1009101653006-n2.htm