小沢いよいよ“菅潰し”首相対話集会「出るな」新人に指令

鳩山由紀夫前首相(63)グループが長野県軽井沢町で19日に開いた研修会は、さながら9・14民主党代表選への出馬を検討している小沢一郎前幹事長(68)の総決起集会の様相を呈した。党所属議員の3分の1を上回る約160人が出席し、小沢氏に出馬を求める声のオンパレードとなる一方、菅直人首相(63)や“闇将軍”仙谷由人官房長官(64)に対する戦闘宣言も相次いだ。こうした中、小沢氏が菅潰しのための剛腕指令を出していたことも判明、壮絶な権力闘争が始まった。

 この日の研修会は、異常なまでの盛り上がりをみせた。昼にホテルで開かれた講演会には120人、続く鳩山氏の別荘で行われたバーベキュー懇親会には120人、重複を除いて約160人が出席したのだ。

 その中には、鳩山グループ(50人)のメンバーはもちろん、小沢氏側近がズラリ。山岡賢次副代表(67)や元秘書の樋高剛衆院議員(44)のほか、小沢グループの中核である「一新会」の鈴木克昌会長(66)や岡島一正事務局長(52)らの姿もあり「一新会鳩山グループ合流か」とささやく議員もいたほどだ。

 「注目の小沢一郎先生までお出ましいただいた。国民の未来のために行動していかなければならない大事なときだ」

 懇親会会場となった別荘玄関先で小沢氏を丁重に迎えたホスト役の鳩山氏がこう切り出すと、司会役の中山義活首相補佐官(65)は「小沢一郎鳩山由紀夫、気合だ、気合だ、気合だぁ」と絶叫。小沢、鳩山両氏を含む約160人の参加者が一斉に「気合だ」とこぶしを振り上げた。

 「久々に大勢のみなさんの前に来られました。みんなで一生懸命力を合わせ、国民のための政治をやりましょう」

 注目の小沢氏は言葉少なで、料理も「エバラ焼き肉のたれ」で食べる野菜焼きや焼きそば、市販のポップコーンや一口チョコレート、手作りカレーといった、「いい肉が出たりする例年とは違い、今年は質素」(鳩山グループ議員)なものだったが、議員らのボルテージは上がりまくり。

 小沢氏側近の松木謙公衆院議員(51)が「私は小沢氏擁立の急先鋒だが、出馬に一歩近づいた」と述べれば、森裕子参院議員は(54)「私たちの代表は小沢さんしかいない」と話すなど積極発言が飛び出した。

 また、「ガソリン値下げ隊長」として知られる鳩山グループ川内博史衆院議員(48)も「小沢氏はマニフェストを実行できる数少ない政治家の一人。ぜひ勝負をかけてほしい」と持ち上げた。

 具体的な必勝プランも話題に上った。

 ある若手議員は「必勝態勢が整いつつある。小沢氏と菅首相の一騎打ちだ。乱立させて決選投票という人もいるが、小細工したら負ける。信長だって三国志曹操だって、敵の3倍の勢力で戦うのが基本だった」。菅首相批判も飛び出し、若手女性衆院議員は「菅首相は夢を語れない。『歴史に名を残す』ことばかり考えて、国民のことを考えていない。小さい」とこきおろした。

 小沢氏側近は「これで『菅首相の対抗馬がいない』と思考が止まっていた中間派に小沢氏待望論が広がる」と、期待感を口にする。

 実際、小沢氏の菅首相への不信感は日に日に深まっているのは事実。参院選大敗に加え最近、周囲に繰り返し漏らしているのが、急激な円高に対する政権の「無策ぶり」だ。「政府は何の手も打っていない。このままでこの国は大丈夫なのか」との焦燥感につながっている。

 こうした中、首相は当選1回生議員を対象とした対話集会を来週23日から計画。同時期には既に小沢氏主宰の勉強会がセットされていたため、小沢氏サイドは菅首相が「小沢排除」を鮮明にしたと受け止めた。

 「首相の対話集会には出るな」。18日午前、小沢氏は、側近を通じて新人議員に号令。一方で、予定をキャンセルしてでも鳩山研修会に参加するよう指示。結果、100人前後が押しかけ、底力を見せつけた。

 一方、対する菅陣営は平静を装っている。「代表選後の人事をにらんだ揺さぶり以外の何ものでもない。政治資金の話を引きずっている状況で、小沢氏の出馬なんかあり得ない」との判断からだ。

 ただ、さすがに懇親会での盛り上がりぶりには危機感も芽生え始めた様子。菅グループから“偵察要員”として懇親会に押し掛けた荒井聡国家戦略担当相(64)は、記者団から小沢氏出馬説について問われると、さすがに「私はそういうので来ていない。鳩山政権で首相補佐官だったから来た」とバツが悪そうに質問を打ち切った。

 当の菅首相も同日夕、「代表選については、しかるべき時にきちっと考えを申し上げたい」と慎重な言い回しに終始した。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100820/plt1008201625007-n2.htm