小鳩“神輿”1基目は海江田か 小沢側に「出馬」申し出

民主党海江田万里衆院財務金融委員長(61)が、9月14日の党代表選に出馬したいとの意向を小沢一郎前幹事長(68)、鳩山由紀夫前首相(63)の両サイドに伝えていたことが7日、分かった。小鳩陣営は2009年の衆院選マニフェストへの「原点回帰」を対立軸として“反菅”で結集しつつあるだけに、海江田氏で一本化できれば菅直人首相(63)への超強力な対抗馬になりうる。事態は風雲急を告げてきた。

 小沢、鳩山両グループの複数の関係者によると、海江田氏は4日、都内のホテルで小沢氏に近い議員らと会談。「自分は還暦を過ぎた。勝負するなら今だと思っている」などと伝えた。鳩山グループの幹部数人にも「代表選に意欲がある」と語っている。近く鳩山氏と会談し、協議する。

 海江田氏は東京都生まれ。慶応大学卒業後、税金党を率いた野末陳平氏に師事し、テレビや週刊誌などで経済評論家として活躍。1993年に日本新党から衆院選に出馬して初当選。96年に旧民主党結党に参加し、政調会長などを歴任した。当選5回。

 鳩山グループに所属するが、小沢氏が進めた政治改革を党内で担当したため小沢氏にも近く、6月の代表選では小沢氏側近から出馬を打診された。また、旧社会党の故・山花貞夫委員長が立ち上げた市民リーグに一時所属した関係で、横路孝弘衆院議長(69)率いる旧社会党グループとの仲も良好。3日には議長公邸で勉強会を開いた。

 単純計算では、鳩山グループ約50人、小沢グループ約150人、横路グループ約30人の合計は、菅首相の再選支持を表明している菅グループ約30人、前原誠司国交相(48)グループ約30人、野田佳彦財務相(53)グループ約30人の合計をはるかに上回る。

 政治評論家の浅川博忠氏は「小鳩の接着剤としては打って付けだ。経済通であり、長身でルックスもいい。来年の統一地方選の人寄せパンダになりうる。党内には反菅の動きが目立っており、善戦する可能性はある」と話す。

 実際、小鳩陣営では代表選に向けた“神輿”の準備が進んでいる。

 小沢氏側近の山岡賢次副代表(67)や鳩山氏側近の平野博文官房長官(61)ら小沢、鳩山両グループの中核メンバーは6日、国会内に議員150人、議員代理の秘書ら42人を集めて「09政権マニフェストの原点に返り『国民生活を守る』集い」を開いた。

 そこで出た党代表の条件は「野党との人間的信頼関係があり、本音の話し合いができる交渉能力と当事者能力がある。政策や政局を本質的に理解している。内外の要路にパイプを持つ。国民の生活や生命を守るために、必要な政策の実現に命をかける情熱がある」というもの。出席者のひとりは「菅首相はこれにあたらない」とし、菅降ろしを示唆した。

 「小沢チルドレン」と呼ばれる当選1回の衆院議員らも同日、新たな勉強会「真の政治主導を考える会」を設立。鳩山氏を講師に招き、98人が出席した。今月19日には鳩山グループが長野県軽井沢町で開く研修会に小沢氏や輿石東参院議員会長(74)を招待している。これらが連動して“菅包囲網”を作れば、その力は計り知れない。

 ただ、鳩山氏自身は現時点で菅首相の再選を支持する考えを表明。小沢氏側近の間でも「海江田さんでは少し器が小さいので、一本化できないのではないか。選挙も弱い。小沢氏が出るべきだ」との声がある。

 こうしたなか、菅首相は6日夜、都内で開かれた菅グループ約40人の会合に出席。「3年間は頑張りたい。燃え尽きるだけ燃え尽きたい」と上機嫌だったというが…。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100807/plt1008071322002-n2.htm