民主代表選へ小沢陣営続々決起!せばまる“菅包囲網”

菅直人首相(63)の再選がかかる民主党代表選の日程が、「9月1日告示、14日投開票」に正式に決まった。衆院予算委員会で野党に攻められ精彩を欠く首相を尻目に、民主党内では「反菅」に傾く有力者が国会召集を契機に次々と勉強会を立ち上げ、足場固めに動き始めた。その背景には小沢一郎前幹事長(68)の影もチラついており、「9・14代表選」は菅vs小沢を対立軸とした死闘となるのは間違いなさそうな気配だ。

 民主党は2日の常任幹事会で党代表選の日程を決めた。候補者が複数になった場合、8年ぶり2回目の党員・サポーターも投票する本格的なものになる。今年度の党員・サポーターの総数は34万7733人だ。

 代表選出馬を表明している菅首相だが、内閣支持率の低下と参院選大敗の責任を取らないことから求心力は大幅に低下。「もはや死に体」との声も強く、再選に黄信号がともっている。

 2日に始まった衆院予算委員会では、参院選前に表明していた、税制改革の結論を年度内に出すことを断念したことを表明。さらに、国家戦略室の格下げについて「報道が私の意図と違う」と弁解を繰り返し、野党時代の論客ぶりからほど遠い姿に。自民党石破茂政調会長(53)が、業を煮やして「首相しっかりしてください。毅然(きぜん)とした態度で臨んでください」と一喝する場面もあったほどだ。

 民主党中堅議員も「生気が感じられない。言い訳ばかりで、何をやりたいのか、さっぱり分からない」と手厳しい。

 こうした中、民主党内有力者は首相に見切りをつけたのか、様々な思惑でうごめき始めた。

 特に素早い動きを見せているのは、鳩山由紀夫前首相(63)率いる「政権公約を実現する会」(=鳩山グループ約50人)に所属する議員。鳩山氏が小沢氏に急接近していることもあり、「小鳩枢軸」を復活させ、「菅降ろし」に走る可能性もささやかれている。

 中でも真っ先に動いたのが小沢鋭仁環境相(56)だ。2日に国会内に衆参国会議員約40人を集め、「21C国家(像)モデル研究会」を立ち上げた。小沢環境相鳩山グループの事務総長を務めた重鎮で、同じ山梨選出の輿石東参院議員会長(74)と良好だ。

 この日は、小沢一郎グループの松木謙公(51)、笠浩史(45)の両衆院議員らも出席。小沢環境相は「政策ビジョンを実現するのに何が必要かという話は将来出てくるかもしれない」と代表選出馬に含みを持たせた。

 3日夕には、同じ鳩山グループ海江田万里衆院財務金融委員長(61)=東京1区=が、作家の辻井喬氏(83)を招いた勉強会を開く。約40人が参加予定だ。

 海江田氏は6月の代表選で小沢一郎氏周辺から出馬を打診された経緯があるうえ、代表選出馬に関し「予算委員会の議論をよく聞いて判断する」と含みを持たせている。

 予算委員会菅首相がまるで覇気のない姿勢を見せていることから、民主党関係者は「代表選の足場固めだろう。菅首相とは同じ東京都連所属で2007年の東京都知事選の対応を巡りしこりが残っている。海江田氏は経済通だけに、経済音痴の首相に対する対抗馬として分かりやすい」と話す。

 勉強会の場所が、旧社会党グループを率いる横路孝弘衆院議長(69)の公邸であることも話題になっている。

 民主党の議員グループのうち、菅首相再選支持を明確にしているのは菅グループ(約30人)、前原誠司国交相(48)のグループ(約30人)、野田佳彦財務相(53)のグループ(約30人)だ。一方で、小沢グループ(約150人)と鳩山グループ(約50人)をはじめ、旧社会党グループ(約30人)や、労組に支えられる旧民社党グループ(30人)が態度を明確にしていない。

 民主党ベテラン議員は「小沢、鳩山、旧社会党グループが組んだら流れができる」と話す。

 ただ、鳩山グループ内には「小沢環境相はグループの代替わりを狙い、海江田氏の現住所は小沢グループ。一枚岩では支えられない。両者が動きすぎると草刈り場になる」との声もあり、大きな動きとなるかは今後の情勢次第だ。

 また、6月の代表選に出馬、小沢グループに支えられた樽床伸二国対委員長(50)も新たなグループ結成を視野に入れ、3日に会合を開催。小沢一郎氏の側近を自認する山岡賢次国対委員長(67)は、3日から5日まで「暑気払い」の名目で若手議員らを自宅に招く。週内には、菅首相と距離を置く勉強会「マニフェストを実行する会」を立ち上げる予定だ。

 また、原口一博総務相(51)は、以前から若手を集めて勉強会を開いており、ここが足場となりそうだ。

 小沢一郎氏に近い若手議員は「小沢氏がついに、代表選の選択肢作りに動き出した」と話すが、水面下の権力闘争が激しさを増している。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100803/plt1008031625005-n2.htm