売り手のはずが…女たちが出会い系サイトに騙されるワケ

出会えない「出会い系サイト」に多額の利用料をだましとられたとして、東京、大阪、岐阜の30−40代の女性3人が先日、サイト運営会社を相手に850万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。下心たっぷりの男たちがカモにされるケースは多数報告されているが、“売り手”のはずの女性が被害にあうのは極めて珍しい。どんなだまされ方をしたのか。

 訴状などによると、女性3人は2007年11月から翌年3月にかけ、出会い系とは別の携帯サイトを閲覧したところ、出会い系サイト「AIR(旧NOw)」に自動登録された。AIRは他の会員にメールを送る際に400円分のポイントが徴収される仕組みで、女性たちがいわゆる「サクラ」から届くメールに返信したところ、東京の女性は120万円、大阪の女性が552万円、岐阜の女性が43万円を請求され、いずれも支払ったという。

 出会い系サイトの広告を多数取り扱う成人雑誌編集長は、女性を食い物にする悪質サイトの実態をこう語る。

 「出会い系サイトは女性無料が一般的ですが、2005年ごろから女性にも課金するサイトが急増しました。表向きは『課金により冷やかしや援助交際などを排除し、真に出会いを求める良質な女性に限定する』などとしていますが、実態は単に男性課金だけではやっていけないケースが大半。いわゆる3K(高学歴・高収入・高身長)を装ったアルバイトのサクラがどんどんメールを送るので、舞い上がって返信してしまう女性もいるのでしょう」

 中には、今回のように知らぬ間に自動的にサイトに登録させたり、「課金」の文字を利用規約の中に小さく記入することで、利用者に気づかせないようにする詐欺まがいのサイトもある。しかも、サイト運営者から法外な料金を請求された場合、男性よりも女性のほうが素直に支払う確率が高いという。

 国民生活センターによると、出会い系サイトに関する相談約3万3000件のうち、女性は実に45%を占める。中には、有名タレントやその関係者を装うケースもあるという。また、知らないうちに悪質サイトに誘導されるケースとしては「占い」「音楽」「小説」のサイトが発端であることが少なくない。

 「出会い系をめぐるトラブルが顕在化した最近は、徹底抗戦する男性が増えてきた。しかし女性の場合、出会い系サイトを利用したことに対する後ろめたさが男性よりも強く、なかなか表だって抵抗はできません。男性からの脅しまがいの電話に屈してしまうことも多い。結果として男性よりも女性のほうがカモにされるケースが多いのです」(ネット関係者)

 悪質な出会い系サイトには、男女ともに警戒が必要だ。


http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20100531/dms1005311608012-n2.htm