迷走鳩山に引導、支持率ついに自民逆転で“GW前後大政変”

永田町に大政変の足音が近づいている。米軍普天間飛行場移設問題で、県外・国外移設を求める沖縄県民大会が25日開かれ、過去最大の約9万人(主催者発表)が参加した。鳩山由紀夫内閣の支持率は20%台前半まで落ち込み、今年夏の参院選の投票先ではついに自民党に逆転を許した。統治不全の「裸の王様」に突き付けられた冷徹な審判。参院選がある年のGW前後は大政変が多いが、今年もジンクスは生きているようだ。

 「(鳩山内閣の)場当たり的で節操のないやり方は、県民を愚弄するもので許すことはできない!」

 移設候補地の1つ、米軍キャンプ・シュワブがある同県名護市の稲嶺進市長は県民大会で、政府の現行案回帰の動きについて、怒りを込めてこう批判した。会場を埋め尽くした参加者から、怒濤のような拍手がわき起こった。約9万人という参加者は、1995年の少女暴行事件に抗議する大会の約8万5000人をも上回る。

 これまで現行移設案を条件付きで容認していた仲井真弘多知事をはじめ、県内全41市町村の首長(代理2人)が出席し、「日米両政府が県内移設を断念し、県外・国外に移設するよう強く求める」と決議したことで、首相が掲げた「5月末までの決着」は絶望的となった。

 鳩山民主党のイライラする迷走政治に対する世論も厳しい。

 フジテレビ系「新報道2001」の世論調査(25日放送)では、夏の参院選の投票先について、民主党は前週比5・2ポイント減の12・2%で、自民党は0・2ポイント増の14・2%となり、政権交代後初めて自民党に追い抜かれた。

 内閣支持率も4・4ポイント減の24・2%となり、「支持しない」は5・4ポイント増の67・8%に。普天間問題が5月末までに決着しない場合、54・2%が「退陣すべき」と答えた。

 統治不全状態に陥りつつある鳩山内閣は国民から見放されつつあるが、永田町には「参院選があるGW前後には大政変がある」とのジンクスがある。

 2001年には、森喜朗首相が「えひめ丸沈没事故後のゴルフ」などで国民の批判を浴び、超低支持率のまま退陣。GW直前の4月26日に「自民党をブッ壊す!」と絶叫した小泉純一郎氏が首相に就任し、自民党内閣支持率70%超という追い風に乗って64議席を獲得している。

 04年には、年金未納問題がさく裂。GW明けの5月7日に福田康夫官房長官が辞任し、10日には民主党菅直人代表も辞任した。小沢一郎氏が後任代表を一時受諾したが、その後、辞退。民主党は「堅物」「原理主義者」とやや敬遠されてきた岡田克也氏を後任代表にして選挙を戦い、50議席を獲得して大躍進している。

 07年は、安倍晋三内閣が「消えた年金」問題や、閣僚の不祥事続出で窮地に。5月28日、松岡利勝農水相が自殺し、後任の赤城徳彦氏は「バンソウコウ」問題で自滅。直後の参院選で、自民党は結党以来守り続けた参院第1党の座を明け渡した。

 政治評論家の小林吉弥氏はGW大政変について、「かつての自民党のボスたちのように、力強いリーダーがいなくなった」といい、こう解説する。

 「選挙が近づくと、国会議員は自分のバッジを守ることを考えて党内政局に力点がかかる。以前なら、それをボスたちが抑えていたが、いまでは民主、自民両党とも抑えが利かず権力闘争に突入していく。新党話もほぼ一段落した。今後の注目は鳩山由紀夫首相の去就だろう。常識的に言って、支持率が20%前半まで落ちれば赤信号だ」

 歴史的な政権交代を無にしないためにも、「迷走政治の責任者で、ともに『政治とカネ』の問題を引きずる首相と小沢一郎幹事長の民主党ツートップが退くべき」(党中堅)との見方があるが、党長老議員は「小沢はそんな生やさしいタマじゃない。自身が権力を握り続けるためにも、鳩山のクビだけ差し替える気ではないか」と語る。

 ただ、小沢氏も崖っぷちに立たされている。

 自身の資金管理団体陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で、今月末にも検察審査会検審)の第1回議決が出るのだ。「起訴相当」か「不起訴不当」となった場合、東京地検特捜部が再度捜査を行う。また、検審が2回続けて「起訴相当」を議決すれば「強制起訴」となり、小沢氏は政治生命を失うことになりかねない。

 現在、民主党内に目立った「鳩山降ろし」「小沢降ろし」の動きはないが、これらの政治状況を見据えた「嵐の前の静さ」といっていい。

 GW後の大政変から目が離せそうにない。

【GW大政変と参院選結果】

 2001年 森内閣が退陣、小泉内閣が誕生。自民党が64議席獲得の圧勝。

 2004年 年金未納問題で、福田官房長官民主党の菅代表が辞任。岡田民主党が50議席の大躍進。

 2007年 消えた年金問題や松岡農水相の自殺、赤城農水相のバンソウコウ問題が直撃。自民党参院第1党の座を明け渡す。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100426/plt1004261618005-n2.htm