耐震工事必要でも9割改修せず 県調査・多い「ウチは大丈夫」

国や市町村の補助で耐震診断を受けた県内の住宅のうち、約9割がその後の耐震工事に結び付いていないことが県のまとめで分かった。改修を行わない要因は費用面の問題もあるが、「大きな地震は起こらない」「自分の家は大丈夫」といった県民の楽観的な感情も大きく影響している。県は「大地震の発生は本県でも予測されている。住宅の補強の必要性を訴えていく」としている。

 2007、08年度に耐震診断を受けた計247戸のうち148戸から回答が寄せられた。診断を受けた後に改修工事を行ったのが13%だったのに対し、行わなかったのが86%に上った。残る1%は建て替え。

 県によると、耐震診断の対象となる1981(昭和56)年以前に建てられた住宅では95%以上で改修が必要という。このため実質的には診断を受けたほとんどが「改修が必要」と判断されながら、改修を行っていない状況だ。改修を行わないとした回答のうち、37%が「費用が工面できない」としたが、11%が「大きな地震は起こらない」、10.2%が「自分の家は大丈夫」と答えた。

 同様に県内の施工業者に住宅の耐震化が進まない理由を複数選択で聞いたところ、「大きな地震が起こらない」が57.5%、「(施主が)費用を工面できない」が50.7%、「助成制度がない」(34.3%)、「地震が発生しても自分の家は大丈夫」(29.1%)、「自分が生きている間は大地震は起こらない」(20.9%)などとなった。耐震改修工事の施工経験の有無については76%が「ない」と答えた。

 県は耐震化を呼び掛けるチラシを県内で全戸配布し、対策を呼び掛けている。県建築住宅課は「震度3、4クラスの地震が起きると一時的に相談が増えるが、耐震に関してはなかなか県民の意識が深まらない。100万〜200万円で十分にできる対策もあるので、県や市町村などに相談してほしい」としている。

http://yamagata-np.jp/news/201001/23/kj_2010012300370.php