神社再建 花と咲け 津波被災の桜、境内彩る 女川町

東日本大震災で被災した宮城県女川町の白山神社で、1本のシダレザクラが花を咲かせた。境内を彩っていた桜の木々も津波に漬かり、氏子らは枯れたとみていた。神社の再建に向けて募金活動に乗り出した氏子らは、たくましい生命力に勇気づけられている。
 津波は海抜約15メートルの高台にある白山神社まで押し寄せ、神殿や社務所は壊滅的な被害を受けた。境内も3分の1近くが波でえぐり取られ、20本以上のシダレザクラは流されるなどした。
 残った数本も枯れたと思われていたが、氏子らが今月5日、境内の片隅に立っている1本が小さな花を付けているのを見つけた。
 権禰宜(ねぎ)の重政栄子さん(31)によると、神殿などは明治初期に建てられた。毎年5月の例大祭はみこしが町内を練り歩き、神社と桜は多くの住民に親しまれていた。
 氏子たちは昨年12月に再建委員会を設立。移転新築には1億円以上を要するため、全国に幅広く寄付の協力を呼び掛けることを決め、4月に活動を始めた。
 再建委員会会長を務める佐藤良一さん(66)は「桜が自分も頑張っているから頑張れと、メッセージを送ってくれている気がした」と感慨深げだ。
 重政さんは「住民が仮設住宅などでばらばらに暮らす今だからこそ、地域の絆となる神社を再建したい」と話している。

http://www.kahoku.co.jp/news/2012/05/20120512t15021.htm