民主代表選、風雲急…小沢“不出馬”濃厚で菅に追い風

9・14民主党代表選(9月1日告示)に、小沢一郎前幹事長(68)が出馬しないとの見方が広がっている。菅直人首相(63)の再選を支持している岡田克也外相(57)が13日、「考え難い」と明言したほか、小沢氏周辺からも同様の声が漏れたのだ。12日に小沢氏がメールマガジンで「原点回帰」を訴え首相を牽制したばかりのタイミングだけに、冷や水をかけた格好。1カ月後の代表選に向け、情報戦や駆け引きがますます激化する。

 岡田氏は13日午後、朝日ニュースターの番組収録で、小沢氏が収支報告書虚偽記入事件をめぐる検察審査会の2度目の結論を控えていることを念頭に、「検察審査会の結果が出ていない段階で(代表選に勝利して)『首相』になり、審査会が起訴相当、不起訴不当と結論を出すのは考え難い」と述べた。

 別の有力幹部は周辺に「小沢氏は絶対に出ない」と明言。小沢氏に近い筋も検察審査会を理由に「勝負に出るときではない」との認識を示した。

 また、報道各社による世論調査菅首相に追い風で、小沢氏の出馬に懐疑的なことも不出馬説の根拠になっている。

 時事通信が6−9日に行った世論調査では首相の続投支持は40・8%、不支持は27・0%。支持する理由は「短期間で政権が代わるのは国益上よくない」が最多の56・9%で、消極的支持ではあるが、短期間で政権を代えることへの有権者のアレルギーは強い。また、読売新聞の調査では8割が小沢氏が要職に就くことに反対している。

 小沢グループに所属する議員のなかには「小沢内閣ができれば、支持率2、3%からスタートしても政策で結果を出して徐々に上げていけばいい」(若手)との声もあるが、一枚岩ではない。

 ただ、依然として小沢待望論が根強いのも事実。特に、小沢氏が12日に配信したメルマガは、党内で波紋を広げだ。参院選後、沈黙を守ってきた小沢氏の“肉声”だけに注目され、特に「民主党は原点に戻り、『国民の生活が第一』の政策を実行する」というくだりは、さまざまな憶測を呼んだ。

 例えば、民主党若手議員は「山岡賢次副代表(67)らが、2009年の衆院選マニフェストへの『原点回帰』を掲げ、反菅勉強会を開いた。メルマガは、小沢氏が『原点回帰』を旗頭に首相になる決意を固めたようにも読める」と話した。岡田氏の発言はこうした待望論を牽制する側面があるのは間違いない。

 果たして小沢氏は出馬するのかしないのか。その判断材料のひとつになりそうなのが、鳩山由紀夫前首相(63)のグループが19日に長野県軽井沢町で開く研修会に、小沢氏が出席するかどうか。

 小沢氏は自らのグループの議員とともに、鳩山氏側から研修会に招待されている。小沢、鳩山グループがまとまって動けば、党所属議員の413人のうち、200人を超える勢力になるだけに、「出席すれば小鳩が首相に対決姿勢を示すことになるし、見送れば全面対決回避だ」(中堅議員)といわれているのだ。

 小沢氏は25日に自らが主催する「小沢一郎政治塾」で講演する予定で、ここでの発言も注目されている。党内各グループはお盆休み明けに相次いで会合を開き、対応を協議する予定だ。

 代表選立候補届け出の9月1日まで、あと2週間余。激化する一方の権力闘争が行き着く果てには、何が待っているのか。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100814/plt1008141329000-n2.htm