落選の千葉法相続投に批判続出「民意無視、税金の無駄遣い」

仙谷由人官房長官(64)は12日午前の記者会見で、9月の民主党代表選まで内閣改造・党役員人事などの人事は実施しないとの見通しを示した。参院選で落選した千葉景子法相(62)も民間人として続投させる考えだ。しかし、落選者が大臣を続けるという異例の措置に、専門家からは「民意無視」、「責任逃れ」、「税金の無駄遣い」との批判が噴出している。

 千葉氏の処遇について仙谷氏は「行政の継続性の観点から続けていただくのが望ましい。首相とは改めて再確認した」と述べ、続投させる考えを示した。さらに「9月には代表選がある。執行部体制も新しくつくることになる」と説明し、9月の代表選後に大幅な人事に踏み切る可能性を示唆した。

 要するに千葉氏は9月まで留任ということ。民主党関係者は「人事をすれば反対勢力につけいるスキを与えるし、菅直人首相(63)の責任論にも波及する。時間かせぎだ」と解説した。

 しかし、民意によって国会議員バッジを失った千葉氏が引き続き行政の中枢に残ることには、異論が多い。

 明治大学高木勝教授は「千葉氏は大臣としての実績を訴えて選挙を戦い落ちたのだから、『千葉さんはもう大臣として仕事をすべきではない』と判断されたということだ。これで続けるのは民意、選挙を無視している。そもそも、選挙で大敗したのに、菅首相が責任を取らないのはおかしい」と指摘した。

 また、「税金の無駄遣い」を指摘する向きもある。

 総務省人事・恩給局によると、民間人大臣の給与は、国会議員の大臣と同額。後者には国会議員としての歳費が含まれているため、民間大臣がいると、歳費分だけ国庫の支出が増えることになる。昨年度は、大臣1人あたま約2890万円が支給された。しかも、千葉氏は在任中のボーナスも受け取ることになる。

 前出の高木氏は「事業仕分けと称して税金の無駄削減を言うのなら、9月まで期間は短いとはいえ、国会議員から大臣を選んで無駄を省くべき。こんなことをしていては、国民の心は離れるばかりだ」と一刀両断した。

 民主党では、千葉氏のほか、栃木選挙区(改選1)の簗瀬進参院予算委員長(60)、岐阜(同2)の山下八洲夫元参院国家基本政策委員長(67)ら大物も落選した。惨敗が与えた傷跡は、あまりにも深い。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100712/plt1007121617011-n2.htm